2019年11月1日金曜日

【野鳥観察】ジョウビタキ初認

 
日本では冬鳥として知られるジョウビタキ(尉鶲、daurian redstart, Phoenicurus auroreus )は、ロシアなどの寒いところで夏をすごし、秋になると日本以南に渡ってくる渡り鳥だ。
冬鳥は夏の繁殖期を別の地域で送るので、日本に渡ってきたときには「さえずり」を聞かせてくれることは稀だ。でもジョウビタキは、さえずりはなくとも、「ヒン、ヒン、ヒンチャッチャ♪」という可愛らしい声が目印(耳印!)。なごむわ~♡
 

 
 
10月27日 鳴き声、初聞き
 
その可愛らしい声を、10月27日に聞いた、気がした。
近縁のキビタキ(黄鶲、narcissus flycatcher, Ficedula narcissina )に地鳴きが似ているので、キビタキかもしれない(キビタキは夏鳥だから秋に南国へと渡るけど、のんびり屋さんはまだ日本にいるかも)と、確信が持てなかった。
 
 
 
10月28日 姿を初認
 
 この日、実家にてくてくと歩いて行き、父のカメラ SIGMA SD15 を借りてきた。くっつけてくれたレンズは同じく SIGMA の望遠ズーム「APO 50-150mm F2.8ⅡEX DC HSM」。

 10年ほど前、父が SD15 を手に入れたとき、前機の SD14 が私のところに来た。ケータイのレビュー記事なんかで使ってオーバーキル?気味に楽しんだりしていたものだ。
 しかし私が出産したりなんだりかんだりした折に、父の手元で管理してもらうことにしたのだ。
(SD14 は腕前のない私では、屋外の晴天下でないとまともなものが撮れないなど、使い手とシチュエーションを選ぶ機種なため、育児しながらの記録にはあまり向かない)
 
 さて、SD15 である。SD14 の後継機だけあって、操作はほぼ同じ。とはいえ、ミラーレスの SONY NEX-6 に慣れきって、SIGMA カメラの手元をすっかり忘れている私。呆れつつも父がいろいろとアドバイスをくれて、だいぶ使い方を思い出してきた。
 
 
 こういうものを借りてしまったら、何かさっそく撮らないと、せっつかれるではないか。
 近所のスーパーに買い物に出る道すがら、ごついカメラを首から下げて歩く。そんな中、聞こえた! ヒン、ヒン、ヒンチャッチャ♪ だ!
 
 いた!
 逆光で見えないが、間違いなかろう!
 
14時半ごろ。すでに空の色は夕方の香り[SIGMA]
限界までいじって色を見せています[SIGMA]

思ったとおりだ!
赤いお腹、黒い翼に白斑。ジョウビタキのオス(ジョビ太)だ。
 
この日、この界隈でのジョウビタキ初認をバードリサーチに報告した。こういうのがこれまたうれしいのだ。
 
 
 
10月30日 偵察のジョウビタキ
 
雨天の10月29日は、仕事を片付けた。
外に出られない日にやっつけてしまわないと、という気持ちになる。
 
 
翌30日はすばらしい晴天。
ベランダから見渡せば、ほれ、いたいた、ジョビ太だ。大家さんの家の梅の木の、細い梢の先できれいな声を聞かせている。
 
でもね、ジョビ太……、そこは、すごく気の強いモズ子さん(百舌、bull-headed shrike, Lanius bucephalus )の縄張りだよ? そのモズ子さんは10月の上旬に渡ってきて、このひと夏その梅の木を好んでいたメジロの家族をみんな追い払ったんだよ……と心配していたが、そこにはモズは現れず。
(後日、モズとジョウビタキがケンカする声だけを聞いた 笑)
 
そうこうするうちに、そのジョビ太は当マンションの敷地内をヒラヒラと飛び回り、なんと隣家の屋根、当家のベランダから6~7mといったところに降り立った!
 
3分ほど屋根の上にいた[SIGMA]

だいぶキョロキョロしている。
外敵などの脅威がいないかなど、冬の間を過ごす場所としてふさわしいか品定めしている、といったところだろう。
 
……同じ場所に数分もとどまる鳥を見ていると、動画を撮影したい欲求に駆られる。
 
SIGMA SD15 は動画の撮影はできないので、ベランダから室内に戻って、SONY NEX-6 を取ってこなければならない。だからってこちらがバタつけば警戒されて、逃げてしまうかもしれない。最大限に注意を払って、自宅だというのに最大級の忍び足で、可能な限りの最高速度で NEX を持ってベランダに出ると。
 
……なんていい子なの、まだいるじゃないの♡
 

屋根のあちらとこちらをヒラヒラ行き来しつつ、かわいらしい声を披露してくれるあたり、パフォーマーである。(動画20秒)
 
 
 
10月31日 いつもの巡回路にジョビ子さん
 
散歩は、撮影しながら1時間で自宅に戻れる範囲で、いつも同じ界隈を歩く。
そうすると、夏と秋での鳥たちの縄張りの変化など、脳内にマッピングができてくるのが興味深い。
 
この日は、巡回ルート上にジョビ子さんが現れた。
生活道路に面した民家の植え込み(ゴールドクレスト)の中を、小鳥が行き来しているのが見えて足を止めると、ジョビ子が飛び出した!
ジョウビタキは人をこわがらないそうで、なるほど、たしかに、けっこう近寄れた。
 
今シーズン初めての邂逅で、心浮き立って手ブレしまくる。SIGMA のこの望遠ズームレンズは手ブレ補正がない(´;ω;`)  歩きながら撮るなよ!って話である。
 
のんきに道路を歩くが[SIGMA]
実は、ジョビ太を追い払ったところ[SIGMA]

ジョビ子こと、ジョウビタキのメスは一見地味なのだが、尾羽根の美しさがすばらしい。
 
このジョビ子さんが木から飛び出すより一瞬早く、もう一羽が反対側の塀の向こうに飛んで行った。どうやら、ジョビ子さんがジョビ太くんを追い払ったらしい。繁殖期を終えたらカップル解消しておりますゆえ、食餌のパイ(ニッチ)を奪い合う相手は追い払うのです。シビアだね(笑)。
 
 
追い払われたジョビ太くんは、……塀の向こうの駐車場で、車にご執心。
 
すべらないのかなあ[以下、SIGMA]
さみしい背中
車の窓になんども向かって行ったが、鏡のように見えるから、ということでもなさそうだ。
理由はわからないが、どうやら、どうしてもボディにとまりたいらしい。
 
ホバリング
こういうポーズでは南国感がある
執念

男子が車に夢中なのは妙に微笑ましかった。
どこにいても絵になるねえ、ジョビ太くんは。
 
 
 
11月 1日 9時台
 
昨日のジョビ子さんの場所から、ほんの数十歩のところ。
おそらく昨日の子だろう。
電線で声高くヒン、ヒン、ヒンと鳴いていた。特別にキョロキョロするわけでもなく、毛づくろいなどしていた。リラックスしているようだ。
 
快晴のおかげでこのコントラスト[SIGMA]
鳴くときにちゃんと口を開ける[SIGMA]

こうリラックスしてくれていると安心してカメラを取り替えることができる。
 
みなさんご予想のこととは思うが、散歩にしろ買い物に行くにしろ、首からは望遠レンズつきの SIGMA をぶら下げ、カバンには同じく望遠のついた SONY を忍ばせているのである。SONY も撮影で使うとなれば、これもストラップを首にかける。まったく、自宅界隈を歩く姿ではない。
 

このジョビ子さんもなかなかの美声自慢だ。(動画37秒)
 
 
撮影ポイントのあたりに、ジョビ子さん1羽、ジョビ太くん1羽、
私の自宅の近くにも1羽ジョビ太くんがいる。
どうやら、このあたりに縄張りを作ることに成功したようで、喜ばしい。
春に北へ彼らを見送るまで、一冬の間、見守っていきたい。仲良くしようね!
 
 
 
 
 

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