2015年2月4日水曜日

“CA” Chapter IXの覚え書き(木星その2、編集中)

 
William Lilly “Christian Astrology”
―An Introduction to Astrology―
 
Chapter 9(の覚え書き、木星その2)
 
Of the Planet Jupiter, and his signification.
 
 
 
【ハーブ】
木星が司るハーブは、以下のとおり。
 
〔cloves〕クローブ。フトモモ科チョウジ(Syzygium aromaticum)
 
〔clove-sugar〕現代ではクローブで香りをつけた砂糖のこと。リリーが何のことを指していたかは不明。(カルペパーの『Culpeper's complete herbal』1816年版にも類似の記載なし)
 

〔mace〕ナツメグの核を覆う皮。網目状の部分

〔nutmeg〕ナツメグ(Myristica fragrans)

〔gilly-flower〕=gillyflower、gilliflower wallflower、stock。アブラナ科アラセイトウの仲間。学名からマッティオラ Matthiola と呼ばれることもある

〔straw-bury〕=strawberry バラ科イチゴの仲間

〔herb balsam〕costmary。キク科ヨモギギク属のキク(Tanacetum balsamita)

〔bettony〕=betony シソ科カッコウチョロギ(リンネ Betonica officinalis、ベンサムStachys Betonica)

〔centory〕=centaury リンドウ科シマセンブリ属のセンブリ、特にベニバナセンブリ(Erythraea centaurium)のこと

〔flax〕アマ科アマ(Linum usitatissimum)

〔ars-smart〕=arsesmart smartweed タデ科タデ属(Polygonum)の仲間

〔fumitory〕ケシ科カラクサケマン(Fumaria officinalis)

〔lung-wort〕=lungwort ムラサキ科プルモナリア属の総称、特にムラサキ科ラングワート、ヤクヨウヒメムラサキ(Pulmonaria officinalis)のこと。一説にムラサキ科メルテンシア属の総称、特にムラサキ科ハマベンケイソウ(Mertensia maritima)のこと

〔pimpernel〕サクラソウ科ルリハコベ(Anagallis arvensis)

〔walwort〕=wallwort Comfrey ムラサキ科ヒレハリソウ(Symphytum officinale)

〔orangy or wild margorane〕=oregano or wild marjoram シソ科オレガノ(Origanum vulgare)。"C. A."原典では「orangy or wild margorane」とある。「margorane」は中期ラテン語の「marjorana」から来たスペルだろう。スペイン語の「oregano」がなぜ「orangy」となったかは不明。「orangy」といえばサンスクリット「narangah」由来のオレンジのことで、ギリシャ語「oreiganon」もしくは「origanon」由来のoreganoとは混同しにくいはず

〔rubbarb〕= rhubarb タデ科ダイオウ(大黄)属の薬草。毒性も報告されているルバーブだが、ハーブのルバーブといえば食用大黄(マルバダイオウ 丸葉大黄 Rheum rhaponticum やカラダイオウ 唐大黄 Rheum rhabarbarum)のこと。生薬としては健胃や下剤に用いる。「rhubarb」のスペルの成立は1390年ごろのことで、"C. A."が書かれるよりも250年も前。しかし中期英語では「rubarb」「reubarb」などが見られるとのことなので、リリーのスペリングはここに由来するか。(← 古期フランス語 r(e)ubarbe ← 中期ラテン語 reubarbarum ← ギリシャ語 rhéon bárbaron 異国のダイオウ;Rhaとはロシア・ヴォルガ川のスキタイ人による呼称。プトレマイオスはこの川をRhaと記録している。ルバーブは南シベリア原産で、この川岸にたくさん自生していたという)

〔self-heale〕=self-heal 一般的に病気に効果のある薬草のことだが、特にシソ科ウツボグサ(Prunella vulgaris)を指すという。ウツボグサには消炎効果があり、扁桃腺炎(brunella)に効くことから「prunella」の名がついたとも言われる。また一説には、ウツボグサが黒いことから、黒い実をつけるリンボクのフランス語「prunelle」を借用したとも言われる

〔borage〕ムラサキ科ルリヂシャ(Borago officinalis)。語源は一説にはアラビア語で、← 古期フランス語 borage ← 中期ラテン語 borrago ← アラビア語  'abū 'araq (father of sweat)であるという。これはルリヂシャにアドレナリン分泌作用があり、発汗を促したり気分を上向きにさせる効果があることから。

〔buglosse〕=bugloss ムラサキ科ウシノシタグサ属の植物。語源は←中期英語 buglossa ←中世ラテン語būglōssos ←ギリシャ語boûs(語幹はbou-)+glôssa(「…の舌を持った」-glōssos)で、こちらも「牛の舌」。

〔wheat〕小麦

〔willow-hearb〕=willowherb アカバナ属 Epilobium の植物のうち特にヤナギラン Epilobium angustifolium やオオアカバナ Epilobium hirsutum のこと

〔thorough-leafe〕thorough waxとも。セリ科ミシマサイコ属ツキヌキサイコ Bupleurum rotundifolium のこと

〔violets〕スミレ

〔laskwort〕この文言でネット検索をかけると、GoogleBooksで英語-ウェールズ語の古い辞書が引っかかる。そこには "Ariangwion, Arianllys, flux-worts, or lask-wort. Crista galli" とある。これをもとにさらに調べた。

 Ariangwion …… Arian Gwion は、ゴマノハグサ科の植物 Rhinanthus の仲間であるという。上記の Crista galli(ラテン語「鶏の冠」)はシノニムとのこと。同科の中でも、特に Yellow Rattle と呼ばれる植物であるとする。これはゴマノハグサ科オクエゾガラガラ Rhinanthus minor のこと。こんな興味深い記事を見つけた。「生物多様性を増大させる寄生植物

 Arianllys …… キンポウゲ科カラマツソウ属 Thalictrum の植物であるという。上記の fluxwort もこの仲間。GoogleBooksでは、laskwort とはズバリ Thalictrum angustifolium (和名は不明)のことであるとする辞書もある。なお、fluxwort は Gwion's silver とも呼ばれるそうで、これを上項ゴマノハグサ科「Arian Gwionの別名」とする英書も存在する。
 両者はいずれもよく似た特徴を備えている(黄色い花、スッと背が高い姿)ので混同の可能性がある。また英名に関しても、fluxwort 、flaxwort 、laxwort という「揺れ」があるので、原典の laskwort という語もこの派生かもしれない。
 skyscript.comでは、カルペパーが "flix weed" と記したものと同じだとする。参照先として挙げてある Botanical.com では、アブラナ科キバナハタザオ属(カキネガラシ属) Sisymbrium の特に Sisymbrium sophia のこととする。

〔liverwort〕苔類、特にゼニゴケ類のこととする辞書がある。その一方で、liverwort は liverleaf の別名でもあるとのこと。liverleaf はキンポウゲ科スハマソウ属やミスミソウ属の植物 Hepatica nobilis のことで、和名では雪割草の仲間。いずれが木星らしいかといえば後者の liverleaf のほうのような気がするが、真偽不明。skyscript.com も「地衣類のこと」としている。

〔bazil〕

〔pomergranet〕

〔pyony〕

〔liquorish〕

〔mynt〕

〔mastix〕

〔dazy〕

〔feversend〕

〔saffron〕

 

 

 

 

 







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