17世紀イングランドの御用占星術家、William Lillyの書いた
“Christian Astrology”を読んでいる。
「伝統的西洋占星術」に興味があるなら、
とりあえずはこれを読んでおきなさいよ、というバイブル的存在だ。
W. Lillyは1602年生まれで、この本は1647年に出版された。
ちなみにW. Shakespeareが
1564~1616年(ヒトゴロシにもイロイロあると覚えよう)なので、
Shakespeareの台本から半世紀後の英語に当たるわけだ。
「英文学を専攻した理由はShakespeareを原語で読みたかったから」
…というフレーズをたまに耳にする。
それはすなわち、16~17世紀の英語は、
英語そのものや英国史に明るくないと
取っつけないものだ、ということを暗示する言い方だ。
伝統的、古典的占星術というものに興味がわいて、
この本を読んでみようかと考えたとき、正直かなり不安だった。
「Shakespeareのすぐ後の時代の人なんだよなー。
英文科でハムレットを…とかよく聞くし、果たして読めるもんなのか?」
しかし、読み始めてみると、
それがまったくの杞憂であることがわかった。
実際、W. Lillyはかなり読みやすく書いてくれていると思う。
確かに、フランス語の影響を思わせる古めかしいスペリングや、
倒置の多用、そこかしこに散在するラテン語は特徴的だ。
おまけに、奴隷、攻城、籠城、神聖ローマ帝国についての言及まである。
しかし、ひどく読みにくいということはない。
それは、これが占星術の入門書であって、
風刺やウィットを盛り込んだ台本とはわけが違う、
ということが大きいのだろう。
関係詞の影響範囲がどこまでなのか
わかりにくかったりすることはままあるが、
出てくる単語や文が比較的素直だ。
占星術の基本が頭に入った状態で読めば、
古典占星術を学べると同時に英語の学習にもなり、
また満足度も高く、一石三鳥の味わいがある。
先人たちが「とりあえずこれは読んでおいてね」と気軽に言うのも、
それなりに読みやすいからなのだな。
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